スイスの絶景を楽しみながら、国境を越えるユニークな鉄道旅――
それが「ベルニナ鉄道(Bernina Express)」です。
サンモリッツからイタリアのティラーノまでを結ぶこの路線は、世界遺産にも登録された美しい山岳鉄道。
氷河、湖、アルプスの峠を超えながら、赤い列車が静かに走り抜けていきます。
このページでは、実際に乗って感じた車窓からの絶景や、見どころ、旅のヒントなどを、写真とともにご紹介します。
特別な準備がなくても楽しめる、スイス旅行のハイライトになる体験です。
出発地:スイス・サンモリッツ
到着地:イタリア・ティラーノ
所要時間:約2時間15分
運行会社:レーティッシュ鉄道(Rhätische Bahn)
距離:約60km
最高地点:ベルニナ峠(2,253m)
標高差約1,800メートルを一気に駆け下るこのルートは、鉄道好きだけでなく、自然を楽しみたい人にも大きな魅力があります。
窓からの風景――自然の中を静かに走る
ベルニナ鉄道に乗ってすぐ、静かで美しい世界が車窓に広がります。
広大な山々、湖、草原、小さな村。人工的なものがほとんど目に入らない、純粋な自然の中を列車はゆっくりと進みます。
静かな車内とは対照的に、私はもう心の中が大興奮。
あまりの風景の美しさに圧倒され、気づけばカメラを構えっぱなしでした。
見渡すかぎりの雪山、湖面に映る空、遠くに見える小さな教会、牛の群れ――
一つ一つが「絵になる」瞬間で、次々にシャッターを切らずにはいられません。
でも、どこかでふと「撮ることに夢中になっていて、目で見ることを忘れてない?」と自分に問いかけたくなるほど。
それくらい、風景が“静かに心に迫ってくる”ような時間でした。
写真もいいけれど、時にはカメラを置いて、ただ窓の外をぼんやり眺めるのもおすすめです。
その静けさと壮大さは、画面越しではなく、自分の目と心で感じてこそ味わえる贅沢だと思います。
見どころ・ハイライト
ベルニア鉄道周辺の氷河
列車がサンモリッツを出発してしばらくすると、すぐに標高の高い山岳地帯に入ります。窓の外には、雪をまとったベルニナ山群やモルテラッチ氷河など、迫力のある氷河風景が広がっていました。
晴れていたこともあり、氷河は日差しを受けて静かに輝き、遠くの山々とともに、息をのむような景色をつくり出していました。列車はゆっくりと進むので、写真を撮ったり、じっくり眺めたりする余裕があるのも嬉しいところです。
ブルージオのループ橋
石造りの大きな円形橋を、列車がゆっくりとカーブを描きながら進んでいくループ橋の区間。車窓からは、これまで走ってきた線路や周囲の風景がぐるりと見渡せて、少しずつ高さが変わっていくのも印象的です。
この橋は「ブルージオのループ橋」と呼ばれ、高低差のある地形を無理なく登るために工夫された構造。自然の地形に合わせて設計されたこの橋は、鉄道技術と景観がうまく調和している場所のひとつです。
過度な演出や派手さはありませんが、列車ならではの静かな迫力と面白さを感じる区間でした。
ベルニナ峠
ベルニナ鉄道の最高地点、ベルニナ峠(オスピツィオ・ベルニナ駅)。標高は2,253メートル。
駅のまわりには、建物も人も少なく、シンプルな駅舎がひっそりと建っています。大げさな観光地の雰囲気はなく、どこか素朴で静かな場所。高地特有の澄んだ空気と、少し肌寒さを感じさせる景色に、ここがアルプスの真ん中だということを実感しました。
おわりに――ゆっくり走る列車だからこそ見える風景
ベルニナ鉄道の旅は、移動手段でありながら、それ自体がひとつの体験でした。
雄大な自然の中を、音もなく進んでいく列車のリズムに身をまかせていると、日常のあわただしさを忘れ、ただ景色を眺めるという時間の贅沢に気づかされます。
氷河や峠、ループ橋といった見どころはもちろんですが、何気ない風景の中にも心に残る瞬間がたくさんありました。
この路線には「名所」と呼ばれる場所以上に、静かに旅人を迎えてくれる風景があるように思います。
スイスを訪れる機会があれば、ぜひ一度、ベルニナ鉄道に乗ってみてください。
写真や言葉だけでは伝えきれない、ゆっくりと心に残る旅になると思います。
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